気象レーダーのしくみ
気象予報士試験の学科試験・専門科目・「観測成果の利用」の項目から、
気象レーダーのしくみについて説明します!
今回は気象レーダーに関する数式をメインに扱います。
気象レーダーのしくみは?
まずは、気象レーダーがどんなことをしているのか、 ざっくり見てみましょう。
①気象レーダーから電波を発射して、
②雨粒は電波を散乱し、
③レーダーに戻ってきた電波を観測する
という流れです。
何が分かるの?
「こんなことで何が分かるの?」と思ったあなた!
こちらの表を見てください。
「電波が戻ってくるまでの時間」と「戻ってきた電波の強さ」から、
「降水域までの距離」と「降水の強さ」を計算で求められます。
ここで、重要なのは「観測から分かること」と「計算で求めること」の区別をはっきりさせること。
この記事では観測から分かることは赤字、計算で求めることは緑字で示します。
降水域までの距離を求めよう!
実際に計算式を見てみましょう。
はじめは、電波が戻ってくるまでの時間から降水域までの距離を求める式です。
降水域までの距離は小学校の「速さの計算」から求められるんです。
簡単でしょ?(^^♪
光速は電波の速さのこと。
÷2をしているのは、電波がレーダーと雨粒の間を往復しているからです。
これを記号で公式として表すとこうなります。
降水の強さを求めよう!
次に、戻ってきた電波の強さから降水の強さを求める式を説明します。
こちらはちょっと複雑です。
先に、観測で分かった「電波の強さ」つまり「平均受信電力」と先ほど計算した「降水域までの距離」から
「レーダー反射因子」を求めます。
その後、「レーダー反射因子」から「降水強度」を求めます。
これを記号で表すとこうなります。
ここで注目してほしいのは下の式。
これは、「Z-R関係」についてのべた式です。
Z「レーダー反射因子」とR「降水強度」には統計的に導かれた関係式があります。
気象庁ではこの統計的な値をB=200、β=1.6と定めています。
この関係式が試験に出題されたこともあるので要チェックです。
レーダーの精度って?
最後に、レーダーの精度について考えます。
レーダーの精度についてはこんな式が成り立っています。
電波の波長を小さくすればするほど、平均受信電力が大きくなります。
平均受信電力が大きくなるとより小さな雨粒からの散乱も捉えられ、レーダーの精度が上がることを意味します。
気象庁のレーダーの精度では霧雨が観測できないのは、電波の波長が霧雨観測には長すぎるからです。
こちらも、公式を示します。
まとめ
今回扱った式では一つの値が決定すると、他の値が増減します。
この時、どれが変数でどれが定数かということが理解できるのが重要です。
ぜひ過去問でレーダーについて復習してくださいね。